「Co2見える化 井戸端会議室」では、早稲田環境研究所の研究員が身近な環境問題やCO2削減について、ご説明します。今回は「利用者にも地球にも優しい車いすとは???」担当は"norikazu"です。
?
市販されている電動車いすの航続距離は、30km?数kmとかなりの幅があります。これは、自動車のカタログの燃費と同じで実際にはこの数値の何割かの航続距離となり、旋回や停車・発進を繰り返せば、さらに短くなります。なので、利用者の方が外出する際は、予備のバッテリーを積みこんでいる様子をよく目にします。
これは、「もしも外出先で止まってしまったら?」と考えると、お分かりになるかと思います。では、航続距離を伸ばすには、どの様な改善策があるのでしょうか?
航続距離を伸ばすには、「バッテリーの蓄えられる電気を増やす。」「車体を少ないエネルギーで動かす(車体の省電力化)。」などの手段が考えられます。
バッテリーは、簡単に述べると、大きくすれば蓄えられる電気も増えます。しかし、大きくすれば充電時間の長時間化や重量の増加などの問題が生じてしまい、車いすには不向きな物となってしまいます。市販されている車いすを見てみても、航続距離の長いものは充電時間が半日ほどかかるものもあります。バッテリー自体の性能向上による充電量の増加も考えられますが、すぐに実現できないのが難しい点です。
?
電動車いすの航続距離を伸ばす手段としての車体の省電力化は、地味ですが確実に効果の見込める手段です。最も簡単なのが、軽量化です。家庭の自動車を取り上げると、
例えば、お父さんのゴルフバックなどが積みっぱなしなっていませんか?なるべく無駄なものは降ろすだけで、燃費の改善につながります。
私の研究では、軽量化が車体の省電力化に有効と言うことで、CFRPという航空機などに使用される軽量で強い素材を用いて、車体のみの重量が約6kgと市販されている物の半分程度の車体を開発しました。
このCFRPは、まだまだ一般的な素材ではありません。しかし、研究として作成することで、新しい電動車いすに取り入れられるようになれば、航続距離は伸ばすことが出来ます。その様になれば、利用者の方にも喜ばれ、使われるエネルギーも少なくて済み地球にも優しい、不便無く移動できる手段へ1歩近付けるのではないかと考えています。