「Co2見える化 井戸端会議室」では、早稲田環境研究所の研究員が身近な環境問題やCO2削減について、ご説明します。今回は「自動販売機と環境?」担当は"まつお"です。
前回お話ししたように、自販機は、24時間いつでも利用できるという便利さの半面で、消費電力量の低減が課題でした。
飲料用自販機のなかでもシェアの高い、缶自販機を例に取ると、消費電力構成比が冷却・加熱80%、蛍光灯15%、制御その他5%となっています。割合の大きい、冷却・加熱、蛍光灯、制御その他の順に省エネ対応を図るのが効果的ということになります。その対応の例を、いくつか示します。
消費電力の構成
(1)断熱材の改良
99年機では家庭用冷蔵庫で使われている真空断熱材を採用し省エネ性を高めています。
自販機の省エネでは、庫内の冷たさや温かさをできるだけ逃がさないでエネルギー効率を高めることがポイントになります。このため、従来は断熱性の優れた硬質ウレタン材を使用していましたが、最近の飲料自販機にはウレタンなどを真空パックし、金属フィルムで覆った保温効率の高い真空断熱材が使われるようになってきました。
(2)エコベンダー(ピークカット機能)
エコベンダーは、夏場、午前中に商品を冷やし込み、エアコンなどの使用により電力需要がピークを迎える午後(1?4時)は冷却運転をストップする省エネ型の缶飲料自販機です。
電力会社は、年間で電力需要がピークに達する時にも電気を安定供給するため発電所の新設などさまざまな努力をしています。エコベンダーは、この午後のピークの一部を午前中にシフトすることを目的にしており、これにより余分な発電所の新設を抑える効果も期待されています。
エコベンダーの設置は、95年から始まりました。現在では全国(電力ピークの大きくない北海道は除く)の缶飲料自販機のほぼ100%がエコベンダーとなっています。
ピークカット機能の概略
ただし、圧縮機を停止させるような機能については、紙容器の飲料を販売する自販機については利用できないようになっています。これは紙容器については食品衛生法による制限がかかっているためで、Coldで10℃以下、Hotで64℃以上に保持しなくてはならない規定によるものです。
※次回に続く・・・
2008/09/26