定番の文句ですが、みなさんはお正月に餅を何個食べましたか? お正月に食べる餅といえばやはり雑煮。雑煮は各地、各家庭でそれぞれ違いますね。我が家はかつおだしのしょうゆ仕立てで、しいたけとかまぼこ、鶏肉を入れて卵とじにして、三つ葉とゆずをトッピングするシンプルな雑煮です。餅はしっかり焼いて、お椀に入れだし汁を注ぎます。こうすると餅が煮崩れず、だし汁もにごりません。
みなさんのご家庭はどんな雑煮でしょうか。餅の形も各地で異なりますね。一般的に東が四角く、西は丸い。ただし北海道は明治の開拓時代の出身県により、地域ごとに異なるそうです。
さて、日本の餅の歴史は古く、奈良時代に、平城京に各地から餅が送られたという記述があります。平安時代には京都で餅屋を専門に商売として生活する人もいました。さらに鎌倉時代になると、餅が様々な儀式に用いられるようになり、室町時代の茶道の発達とともに、餅菓子としても利用されるようになりました。そして江戸時代には一般化し、年中行事で餅菓子が使われ、諸国の街道筋で名物の餅が売られたそうです。
この餅という言葉、由来には様々な説があります。例えば、腹にもたれるという意味の餅飯(もちいい)や、望月(もちづき)の望であるとの説も。望月とは満月のこと。満月のような円の形は円満の象徴と考えられていたため、太陽や月を尊祟し、祭りなどのたびに太陽や月になぞらえて餅の形を円にして、望月からとって「もち」と発音したりするようになったのではないかというものです。この説からすると、西で食べられる丸餅は日本古来の風習を残しているといえるでしょう。一方、東の四角い切り餅は、武士が戦場に持って行った携帯食であったといわれています。
餅はアジア各地でも食べられています。ただし中国で餅(ピン)といえば、小麦粉をつかった製品の総称。一般的な餅状の食品は「カオ」といって米、アワ、豆、キビなど小麦以外の穀粉をこねて蒸したものです。また朝鮮半島の餅は「トク」で、様々な作り方があるようです。ミャンマーには、赤米で作られた丸餅があります。杵でつくたびに手水の代わりに蜂蜜入りのピーナッツ油を混ぜるため、甘いのが特徴です。
餅の主成分は糖質で、体内でエネルギー源になります。ごはんと比べると、同じ量でも餅のほうが高エネルギー。ですので、おいしいからと食べ過ぎないよう注意です。私のおすすめは玄米餅。餅独特の伸びるような粘りは少ないのですが、香ばしく味わいがあり、玄米のプチプチとした食感が楽しい。なにより栄養豊富で、胃もたれもしにくいのです。玄米ご飯が苦手な人も、餅なら食べやすいので、ぜひお試しください。
レシピ「玄米餅のトマト雑煮」
さまざまな食べ方のあるお餅ですが、今回は洋風の雑煮を作ってみましょう。野菜は、根菜や葉野菜、きのこなど、ストックしているものをいろいろ使ってみてください。魚のタラを使いましたが、お子さんがいるご家庭なら、ミートボールやソーセージを入れてもいいですね。大根もたっぷり使ってみました。トマト味ですが大根の甘みが意外に合いますよ。お正月のお餅があまっていたらぜひ作ってみてください。消化もいいので、お正月に食べ過ぎてしまった人にもおすすめです。
[材料 3人前]
玄米餅(切り餅)...3枚
大根...200g
にんじん...中1/2本
玉ねぎ...小1個
グリーンピース(缶詰でも可)...40g
イタリアンパセリ...2本
タラの切り身...1切
スープストック...800ml
白ワイン...50ml
トマトピューレ...150g
オリーブオイル...大さじ1
塩・こしょう...適量
[作り方]
1. 大きめの鍋にオリーブオイルを入れ玉ねぎのみじん切りを炒める。
2. しんなりしてきたら、スープストック、白ワインをそそぎ、1?角に切った大根とにんじん、ひと口大に切ったタラ、グリーンピースを入れて柔らかくなるまで煮る。
3. 玄米餅は1/2に切り、オリーブオイル少々を入れたフライパンで、両面に焼き色がつくまで、何度かひっくり返しながら焼く。
4. 2にトマトピューレを加えてかき混ぜ、再び煮立ったら塩、こしょうで味を調整する。
5. 4をスープ皿に4をそそぎ、3の餅を乗せてイタリアンパセリをちぎって飾る。
(玄米餅)
このトマト味の雑煮には、白い餅よりも玄米餅のほうが合うんです
( 材料カット)
野菜を小さめに切りましょう。雑煮とはいえ、食べるスープの感覚です
(焼いた餅)
オリーブオイルで玄米餅を焼くと、香ばしさが引き立ちます
(完成)
エネルギーになるうえ野菜がたっぷり取れるので、ぜひ朝ごはんにもどうぞ