11月ごろから旬を迎え、おいしくなるこぼう。きんぴらごぼう、筑前煮や八幡巻きなど、ごぼうは日本料理には欠かせない食材ですね。ところがごぼうを栽培して、食用として好んで食べているのは、世界中で日本だけなのだとか。韓国ではわずかに食べられているそうですが、中国ではごぼうは薬とされています。
特に欧米人の好みに合わないらしく、「日本人は木の根を食べる」と驚くそうです。料理をして食べたらおいしいのに、もったいないな...と感じます。例えばけんちん汁にごぼうが入っていないと、なんだか物足りない。ごぼうが入ることによって、ごぼうの味を楽しむだけでなく、全体のコクと香りがぐっと深まりますよね。ごぼうを食べる日本人でよかった、と思います。
昨年の11月頃のこと。以前中華料理店で、ごぼうの乗った麺料理(メニュー名は忘れてしまいました)を注文したところ、麺の上に軽くたたいた大き目のごぼうがゴロゴロと乗っていました。しかも皮がしっかり取られていなくて、けっこう茶色い。一見、硬そうな感じがしましたが、軽くゆでてあるのでしょう。食べてみるととても柔らかく、香りがたまらなくいいのです。薄い塩味で、麺にも合う、ホッとするおいしさでした。
おいしかった理由は、皮が残っていたからなのです。ごぼう本来の味や香りは皮に多く含まれています。ですから、ごぼうを調理するときは、皮をむかずにタワシでこするだけで十分。真っ白にする必要はありません。刻んだら酢水にさらしてアクを抜くのですが、あまりつけ過ぎると風味が抜けてしまいます。また新鮮なごぼうで、すぐに加熱調理するのであれば、アクを抜かなくても大丈夫です。
あのごぼうならではの歯ごたえをつくっているのは、炭水化物の一種のイヌリンと繊維質のセルロースで、含有量は野菜の中でトップクラスだとか。どちらも整腸作用があり、便通をよくしてくれます。またイヌリンは体の老廃物を分解し、腎臓機能を高め、利尿、むくみをとり、血液もきれいにしてくれます。ごぼうは"体のお掃除"をしてくれる食材なのですね。
ごぼうの旬には、ぜひ洗いごぼうではなく、泥つきのごぼうを買っていただきたいもの。その理由は前述のように皮がついているため、味と香りがいいからです。また細めでひび割れやしわがなく、ひげ根の少ないものを選びましょう。乾燥させないようにして、泥つきごぼうは新聞紙に包み、冷暗所で保存します。香りが失われますので、購入後はなるべく早めに食べてくださいね。
レシピ「パリッとごぼうチップス」
見た目も茶色くて、独特のクセがあるごぼうが苦手というお子さんも多いと思います。そんなお子さんのおやつに、みんな大好きなポテトチップス代わりに、ごぼうチップスを作ってあげてはいかがですか。独特のクセが薄れて食べやすくなり、香りがより引き立ちます。こぼうが苦手なお子さんも、きっと喜んでくれるはずです。レシピでは子供から大人まで楽しめるように、4種類の味付けにしてみました。唐辛子や黒こしょう味は、おつまみにもよさそうですね。切って揚げるだけだからカンタン。料理で余ってしまったごぼうもささっと揚げて、残さず食べてくださいね。
[材料]
ごぼう(できれば泥つき)...1本
塩...小さじ1/2
カレー粉...少々
粗挽き黒こしょう...少々
一味唐辛子...少々
パルメザンチーズ(粉)...少々
揚げ油...適量
[作り方]
1. 泥つきごぼうは洗ってタワシでこする。
2. 斜め薄切りにして、水にさらし、すぐにざるにあげて布巾で水気を取る。
3. 揚げ油を熱し、中温(約170℃)でごぼうを素揚げにする。
4. 揚げ油の泡が消えて、ごぼうがパリッとなったら取り出し、油をよく切る。
5. 全体に塩をまぶした後4等分し、それぞれにカレー粉、黒こしょう、一味唐辛子、パルメザンチーズをまぶす。
(ごぼう)
これからの季節に出まわる泥つきごぼう。細めのほうが柔らかくておいしいです
(タワシでこすった後のこぼう)
タワシでさっとこするだけで十分。皮においしさがあるんですよ!
(スライス後)
スライスして水にさらしたら、水気をよく取ってください
( 完成)
上の左側が黒こしょう味、右側が唐辛子味、下の左側がパルメザンチーズ味、右側がカレー味です