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今月のクローズアップ食材「スルメイカ」

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野菜ばかりが続いたこのコラムですが、今回は初の魚介類「スルメイカ」をお届けしましょう。

 

日本で現在、食用となっているイカはヤリイカ、アオリイカ、モンゴウイカ、スルメイカ、ホタルイカなどで、このうちスルメイカの漁獲量はすべてのイカの90%を占めているそうです。私たちの食卓にのぼる大半のイカが。スルメイカなんですね。スルメイカの名前の由来は、乾物の「スルメ」に加工するイカだからなのだそうです。

 

さて、お正月にスルメイカをたくさん食べたという人も多いのではないでしょうか。干したスルメイカを使った松前漬けや、そのままあぶったスルメなど...。スルメイカは縁起がよいとされる食べ物。スルメのことを「あたりめ」ともいいますね。これは験を担ぐ商人たちが自分の商売に影響しないよう、悪い言葉を避けるために生まれた言葉。

 

「するめ」の「する」というは「賭けごとでお金をする」や「財布をすられる」などを連想させ、縁起が悪いといわれました。そこで、むしろ反対の意味であたる「当たり」を使って「あたりめ」と呼ばれるようになったというわけです。また婚礼のお祝いには「寿留女」と書かれ、利用されます。これは花嫁が逃げてしまわないようにアシ(足=銭)が多いということから縁起をかついでいます。

 

スルメイカにはコレステロールが多いのですが、血中コレステロール値の抑制を助け、中性脂肪を少なくするタウリンも多く含んでいます。また発育を促進し、味覚を正常にする亜鉛、血行をよくし脳神経の働きを助けるナイアシン、細胞の再生やエネルギー代謝を促すビタミンB2も。またイカ墨はビタミンEが豊富で、ムコ多糖体とペプチド複合体が含まれるため、抗がん作用があるのではないかと今、注目されています。

 

料理なら、煮付け、サラダや酢の物、フライやてんぷらなどの揚げ物、炒め物など、和洋中問わずいろいろ活用できて便利です。鮮度がよければ、刺身や塩辛もおいしいですね。煮物の場合は、煮はじめは柔らかく、途中硬くなり、さらに煮ると再び柔らかくなるので、軽く火を通すか、または30分以上じっくり煮込むか、どちらかにするのが調理のコツ。

また、生食の際は寄生虫に要注意。特に「アニサキス」はふつうの場合排泄されますが、まれに胃や腸の壁を食い破ってしまうことがあります。アニサキスは白い半透明で、体長2?3cmくらい。渦巻き状になっていることが多く、肉眼でも見えます。

 

イカの処理をする時には、よく表面を見ながら洗いましょう。―20℃で一晩以上冷凍するとアニサキスは死滅するため、心配な人は冷凍イカを利用するのがいいですね。

今回紹介するレシピも過熱調理をしないため、この点にも注意して、鮮度のいいスルメイカを使ってくださいね。

 

 

レシピ「濃厚イカの塩辛」

 

年中出回っているスルメイカですが、特に肝がたっぷり入るのは、冬のスルメイカ。この時期だからこそ、おいしい塩辛を作ってみましょう。みなさんは市販されているイカの塩辛の、品質表示を見たことがありますか。多いものだと甘味料や酸味料、保存料、酸化防止剤、漂白剤など、添加物が満載です。でも自分で作れば、イカ以外の材料は塩と酒のみで、安心して食べられるのもうれしいですね。

 

実は今回作るイカの塩辛はちょっと変わっています。あるおすし屋さんを訪れた際、「突き出し」でいただいた塩辛が、あまりにおいしくて真似て作ってみたところ、なかなかおいしくできない。試行錯誤の末、その味に近いものが完成したのです。水っぽくなくて味が濃厚。イカをしっかり乾かしているので、通常の手作り塩辛よりも、日持ちがいいです。寒風が吹く乾燥した日を選んで、ぜひトライしてください。

 

 

 [材料]

スルメイカ... 2

塩... 大さじ1/2

酒...大さじ1

ゆずの皮...適量

 

 

 [作り方]

1.     イカをエンペラ、胴、肝、ゲソの4つに分け、エンペラと胴の皮をむく。身を開いて、軟骨を取り除きよく洗う。

 

2.     肝についている黒い墨袋をゆっくり引いて取りはずす。

 

3.     ざるにエンペラ、胴、肝を重ならないように並べ、肝全体に塩を振る(分量外)。ベランダなど風通しのよい場所に一晩置く。

 

4.     胴の端が乾いて透き通り、パリッとしたら干しは完了。まだ水っぽいようだったら、時間を延ばして干す。

 

5.     エンペラ、胴とも長さ5cm・太さ4mmぐらいの細切りにする

 

6.     肝はボールに入れて、スプーンでしごいて皮をはずす。スプーンでたたくようによく混ぜて、塩と酒を加えてさらに混ぜる。

 

7.     65を加え、よくからめるように混ぜる。

 

8.     冷蔵庫で1日以上寝かせたほうが味がなじんでおいしい。盛り付けて、ゆずの千切りを飾る。

 

 

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         身が大きくて肉厚で、濃い茶色のイカがおすすめです。

 

 

 

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エンペラ、胴、肝の3点セットを干します。使用しないゲソは、炒め物など他の料理で活用してくださいね。

 

 

 

 

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乾燥した冬に一晩干せば、反り上がるくらいパリパリに。「硬そうだけれど大丈夫?」と思うかもしれませんが、ここまでやってしまってください。

 

 

 

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乾燥したイカが肝や酒のうまみを吸って、もっちりとおいしく変化するのです。細切りにするのもポイントですよ。