会社概要 こころの健康 カラダの健康 食の健康 予防という検診 地域の健康 代表blog

2010年6月アーカイブ

今月のクローズアップ食材「ミント」

takahashi2.jpg

  この春に、ベトナムのホーチミンに行ってきました。ベトナムを訪れるのは7年ぶりなのですが、相変わらずバイクと騒音にあふれていて、そしてやっぱり強烈に蒸し暑い! 暑さに耐え切れず逃げ込む食堂で、必ず"どかーん"とテーブルの上に出てくるのが「葉っぱセット」。いや、一見すると雑草セット? とも思えるもの。でも一枚一枚よく見ると、レタス、ホーリーバジル、どくだみ、香菜、しそ、ミントと見かけたことのある葉野菜たち。これで揚げ春巻きなどの揚げ物料理をくるんだり、麺料理にたっぷりトッピングします。すると、軽い苦味や清涼感が口の中に広がって、どの料理もさっぱり! 暑くて食欲がないときも、いくらでも食べられる気分になります。とりわけミントの存在感は強く、欠かせないものでした。これから日本もジメジメ蒸し暑い季節。気分が塞いだりイライラしがちなこの時期、ミントで爽やかに過ごすというのはいかがでしょう。

  ギリシャの哲学者アリストテレスの著書「疑問集」の中にこんな一節があります。「ミントには人の体を冷やす効果があるため、争うことがばかばかしくなるので、戦争中は食べてもいけないし、植えてもいけない」と。清涼感を感じるのはメントールという成分。消化促進や強壮、消毒、鎮痛、鎮痒作用もあり、ハップ剤など薬用にも活用されています。また精神的なストレスや吐き気などにも効果があるとされています。最近では、ペパーミント精油に病原性大腸菌のO-157に対して、強い殺菌力があるという実験結果も出ています。

  さて、ミントといってもその種類は様々。強い清涼感があり、ミントの代表といえるのがペパーミント。料理、デザート、飲料、化粧品、歯磨きなどに活用されます。スペアミントもペパーミントと並んで活用度の高いミント。清涼感の中にも甘さを含んだ香りがあります。その他りんごの甘い香りが特徴で、ハーブティーやポプリに使われるアップルミント、オレンジの香りのオレンジミント、パイナップルの香りのパイナップルミント、葉のふちがのこぎりのようにギザギザになったクールミント、地面に這うように伸びて香りの芝生を作ってくれるペニーロイヤルミントなどがあります。また日本のハッカ飴に使われているのもミントの仲間です。正式名を和種ハッカといい、ペパーミントよりもさらにメントールの含有量が多いそうです。

  ミントは暑さや寒さに強く、摘んでもまた生えてくる育てやすいハーブなので、ガーデニングもいいですね。ところでミントを手に入れても、ハーブティーを入れるくらいで使い道がなく残ってしまうというお悩みはありませんか。空き瓶にミントの葉を詰めて、無水エタノールを注いでミントを浸し、2週間冷暗所に置いた後、ミントを取り出してスプレー容器に移せばエアフレッシュナーの完成。また風通しのよい場所につるしてドライにして、ポプリや入浴剤もおすすめです。そしてもちろん、今回のレシピを試してもらえるのがイチバンです!

                       

                        レシピ「鶏手羽先のグリルミント風味」

  ミントを多用するベトナム料理のほか、ジャガイモとグリーンピースをゆでる時、ミントを鍋に入れるのはイギリスの家庭料理。またラム肉のローストには、ミントでつくったミントソースで匂い消しと風味漬けをするそうです。日本では料理としてはなじみが少ないミントですが、今回は手軽な鶏肉料理の香り付けに使ってみることにしました。甘みと酸味、そしてミントの爽やかさが、鶏の脂とマッチして、想像していた以上に美味。お肉は豚肉や牛肉でもおいしいと思います。

[材料4人前]
鶏手羽先...8本
ホワイトペパーミント...5?6本
ペコロス(小たまねぎ)...8個
ミニトマト...8個
マッシュルーム...8個
レモン汁...小さじ2
ハチミツ...大さじ1
塩...小さじ1/2
こしょう...少々
オリーブオイル...大さじ3

[作り方]
1. ホワイトペパーミントをみじん切りにする。

2. 鶏手羽先をポリ袋に入れ、ホワイトペパーミント、レモン汁、ハチミツ、塩、こしょうを入れて、鶏手羽先の全体にいきわたるようにポリ袋の上から揉みこむ。オリーブオイル大さじ2を足して、さらに揉みこんで、鶏手羽先をポリ袋の中で平らに並べて1?2時間漬けておく。

3. ペコロスは皮をむいて、芽と根の部分をカットする。ミニトマトはヘタを取り、マッシュルームは土がついていたら切り取るか、布などでふき取る。オーブンを180℃に温めておく。

4. 天板にオーブンシートをひき、2の鶏手羽先、3の野菜を並べ、野菜には塩・こしょうを振り、オリーブオイル大さじ1をふりかける。

5. 180℃のオーブンで40分間焼く。

6. 皿に盛り付ける。

 

100617_1.jpg

                                         (ミントの苗2種)
ペパーミントには2種類あります。右は葉や茎が紫緑色のブラックペパーミント、左は葉が明るい色のホワイトペパーミント

 


100617_2.jpg

                                     ( ホワイトペパーミント)
料理にはブラックペパーミントより葉の柔らかいホワイトへパーミントを使いました。スペアミントでもOKです

 


100617_3.jpg

                                            (漬け込み)
ポリ袋の上から揉み込んで漬けるので手が汚れずラク。ジッパーで封ができるポリ袋が便利です

 


100617_4.jpg

                                    (オーブンに入れる前)
付け合せは丸い野菜で統一してみました。ブロッコリーやアスパラなど、焼いておいしい野菜ならどんなものでも

 


100617_5.jpg

                                            (盛り付け)
皮がパリパリ、中がジュワッ。ハチミツの甘みとミントの爽やかさがベストマッチ。焼いているので、香りは爽やかでもメントールが強すぎず、お子さんも好きな味だと思います





oowada.jpg

  今年10月に、名古屋で"生物多様性"をテーマにした国際会議が開かれます。COP10と呼ばれていますが、「生物多様性条約第10回締約国会議」の略称です。
  せいぶつたようせい!? 

  「生物多様性」とは、あらゆる生物種の多さと、それらによって成り立っている生態系の豊かさやバランスが保たれている状態を言い、さらに、生物が過去から未来へと伝える遺伝子の多様さまでを含めた幅広い概念だそうです。

※生物多様性条約第10回締約国会議支援実行委員会ホームページ
http://www.cop10.jp/aichi-nagoya/biodiversity/index.html

  日本にも多くの自然が残されていますし、農薬や化学肥料を使わない田畑にも沢山の生き物が生息しています。各地の農山村を巡るうちに、この生物多様性を軸に地域づくりをしている地域があることを知りました。

  今春、トキが自然界で孵化するかどうか話題になっていましたね。その先輩が、兵庫県豊岡市(とよおかし) のコウノトリです。一度は絶滅しましたが、関係者の努力が実を結び、30数年ぶりに野生復帰が果たされ、すでに36羽が豊岡市の上空を自由に羽ばたいています。自然界での孵化も毎年数羽ずつ実現しています。また、さらにその先輩が宮城県大崎市に飛来するマガンです。蕪栗沼(かぶくりぬま)周辺に冬場には6万羽のマガンがやっていきます。沼はラムサール条約にも登録されており、ここも生き物が豊富です。周辺の田んぼは冬場も水を張るので「ふゆみず田んぼ」と呼ばれています。

 

 

100615_1.JPG

                                                     空を舞うコウノトリ

 

幸せを運ぶ鳥、コウノトリの復活 

  今回は、このコウノトリのことを少し詳しくお伝えします。かつて日本各地の農山村で人と共に暮らしていたニホンコウノトリは1971年に絶滅しました。農薬により生殖機能がダメージを受けたのが原因です。最後の一羽が姿を消したのが豊岡市でした。しかし、長年にわたりコウノトリの保護活動を行ってきた人たちは、いつかふたたびコウノトリと一緒に暮らしたいという夢を持ち続けてきました。
  その後、ロシアから譲り受けたコウノトリを飼育し、平成元年には人工ふ化にも成功し、毎年ヒナがかえるようになりました。

  人工飼育しているコウノトリが100羽になったら放鳥しよう、野生復帰させようと、2002年にプロジェクトチームが発足します。一羽のコウノトリが一日に食べる魚や生きものは500グラム。野生で暮らすためには、農薬の使用を極力減らし、ドジョウやカエルなど生きものが沢山いる田んぼを取り戻さなければなりません。

  そのために、農薬を7割削減または使用しない、化学肥料も栽培期間中は使用しない。田植え前の早い時期に水を入れる、あるいは冬期も水を入れておく(冬期灌水)。オタマジャクシがカエルになるまで田んぼに水を張っておく。雑草対策として深水管理(田んぼに深めに水を入れる)など栽培技術が工夫され、「コウノトリ育む農法」として確立されていきました。

 

100615_2.jpg

                                                ドジョウやカエルを食べる

  そして、ついに2005年、絶滅してから実に34年ぶりにコウノトリは放鳥されたのです。コウノトリが豊岡市の里山の上空を飛翔し、人と共に暮らす景色が再現したのです。大人も子供も自分のまちにコウノトリがいることが自慢です。
  「コウノトリ育む農法」は単に農薬や化学肥料を使わない農法というだけではありません。コウノトリのエサとなる多様な生きものを育み、地域に生物多様性を取り戻す。そこで作られたお米を食べた人の健康も育む、そしてお米や加工品の販売を通じて地域経済も元気になるというものです。
生きものや自然と共生する暮らしが実現しました。

  なんだか胸がじわーっと温かくなる物語ですよね。あなたがお住まいの地域にも、こんな物語があるのではないでしょうか?ぜひ教えてください。

※兵庫県立コウノトリの郷公園 http://www.stork.u-hyogo.ac.jp/
※写真提供:豊岡市 

 

hiraki.jpg

こんにちは、高橋剛商会のヒラキタダシです。このたびシロクマのサイトで、「田んぼと畑のある暮らし?山形県真室川便り」を定期報告させていただくことになりました。
札幌生まれ、埼玉育ち、東京で会社経営という私がなぜ山形県の町のレポーターを?という裏事情についてはおいおいお話して行くことにして、まずは、当レポートの主人公である山形県真室川町について、ご紹介させていただきますね。

  <真室川って聞いたことあります?>
ところで「真室川」という単語を聞いたことありますか?
"「真室川音頭」の真室川ですか?"という方は50代後半以上の方でしょうか。そうあの歌に歌われた梅の里が真室川です。ところが「真室川音頭」をご存知の方でも、真室川が山形県の町の名だということまでご存知の方はほとんどいらっしゃいませんね。ましてや山形県のどのあたりにあるかを知っている方は、山形県内でも少数派かもしれません。

  僕も高橋剛さんと会うまでは、一度も聞いたこと無い地名でした。
真室川の方に土地の自慢をしていただくと、真室川音頭、あゆ、山菜、梅などの話しが出てきますが、もう日本中で真室川にしかないってものは、一つもありません(たぶん)。

  昔は奥羽本線が、東京から秋田へ向かうメインルートでしたが、今や新幹線が別ルートになり、奥羽本線は、奥羽線に格下げになり、普通列車が、2時間に1本しか、走っていません。

  名所旧跡の類も、有名なものはありません。でもそんな真室川だからこそ、ありあまるほど豊かなものが残っています。

 

100610_1.gif

 <山菜の宝庫「真室川」>
町内を貫く真室川・鮭川(最上川の支流です)は、東北一の清流として環境省に認定されました。
アユやカジカは今でも重要な蛋白源です。 春の山菜は、町中でいくらでも採れます。タラの芽、ウルイ、シドケ、バッケ(ふきのとう)、コゴミ、アマドコロ・・・
特にワラビは、太くて柔らかくておいしいので、県内外から不法侵入者が後をたちません。 秋のキノコやあけびも、ちょっと足を伸ばせば、採り切れないくらいです。

 

100610_3.jpg100610_2.jpg

 

 

 

 

 

 

 

100610_4.jpg

雪解けと共に顔を出したフキノトウ、真室川では「バッケ」と呼びます。
この「バッケ」を炒めて手作り味噌に練りこんだ「バッケ味噌」は、真室川のどの家庭でもかならず作る「春のプレゼント」です。

 

100610_5.jpg

                                   真室川町を流れる「鮭川」

  こんな真室川のお米って、どうよ!

究極のコシヒカリを生み出す絶妙な自然環境

山場米という言葉があります。
中山間地のお米、という意味です。
一方平地のお米は平場米。 お米問屋が価格を付けるとき、昔から山場米の方が高い値がつきました。 中山間地の特徴は、昼夜の寒暖差が大きいことです。
その結果、夜の寒さに稲が適応するため、糖分をためこむようになり、また、表面にたくさんの凹凸ができるため、米を炊いた時の旨み(ねばねば)が、まといつきやすいのです。 それに加えて、米のできの良し悪しを決めるのが、水です。

そういうわけで、今や山形では、庄内平野の米どころより、真室川を含む、最上郡の米のほうが、(わかっている人には)高い評価を得ているのです。

100610_6.jpg 100610_7.jpg

 

 

 

 

 

田んぼの多くは山間にあります。

 

100610_8.jpg

               夜の温度差は、夜露となって稲穂の頭を深く撓ませます。